辻田歯科医院

メタボ検診


DR.辻田の非常識な健康法則          Vol.37


 2008年4月、メタボ特定検診 が始まります。そして、この検診により医療の崩壊が本格的に始まるでしょう。

 そもそも基準が間違っています。強制的に検診を行い、基準から外れると病院送りに決定します。そして、病院で薬漬けになりさらに健康を害し、ドンドン不健康になっていきます。厚労省は10年後に医療費が下がると言っていますが、それはまずあり得ません。1年も持たずにこの制度は破綻するでしょう。

 メタボリックがいいとは言いませんが、基準よりややメタボリックの方が長生きするというデータも出ています。いまの基準では「ちょいメタ」を薬漬けにして不健康にしようとしているのです。

 政府はマスコミを取り込んでいます。NHKもメタボリックによる問題だけを取り上げて、宣伝しています。
メタボ検診の基準を以下に挙げます。


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 基準について考えてみます。

 腹囲ですが、男性85cm、女性90cm以上になっています。

 この腹囲の数値に対して、国際糖尿病連合がやり玉に挙げました。

「日本の基準は奇妙である。これは使わないようにすべき」と宣言しています。ちなみに、ヨーロッパの基準では、男94cm、女80cm。東南アジアや中国でも、男90cm、女80cm。肥満大国のアメリカでは男100cm、女89cmです。
日本の男85cmが異様に厳しすぎることが分かります。女90cmは逆に甘すぎます。

そして、この腹囲の基準については身長を無視しています。身長の高い人は必然的に腹囲は大きくなっています。


 そのことを考慮してか、BMI25以上というのを導入しています。
BMI値:体重(キロ)÷身長(メートル)÷身長(メートル)です。この基準によると、BMI25となるのは、身長170cmで72.3kgということになります。たった72.3kgで病院送りになるのです。厚労省は、なぜ健康な人を病人扱いするのでしょうか。



 血圧についても問題があります。内科では、高血圧の境界が拡張期(最高)130mmHg、収縮期(最低)90mmHg とし、それを越えると高血圧の治療が必要としている。いつ頃から130mmHgになったのか知っていますか。

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 高血圧症の診断認定は長い間180mmHgでした。この診断基準が2000年に突然170に引き下げられました。謎の決定を行ったのは日本高血圧学会。
さらに、奇妙なことが起こります。2004年には高血圧症の認定基準が140に引き下げられました。

 どうしてこのようなことが起こったか。早期発見によりメタボリックを減らすことが目的ではないのです。

 血圧180ではなく、140にした方がより多くの国民を高血圧の患者に仕立て上げることができるためです。患者が増えれば病院が儲かり、製薬会社が儲かります。製薬会社からの謝礼で厚労省の役員が儲かります。

厚労省などは善意の仮面をかぶって金儲けを企んでいるのです。

 血圧140ほどの健康な人でさえ病人に仕立て上げられ、降圧剤を飲み始めたらどうなるでしょうか。体はそれに抵抗して血圧を上げようとします。そのため体力が消耗されて疲れやすくなります。また、血のめぐりが悪くなるので末梢の組織に問題が起こってきます。問題が起こればしめたモノです。さらに薬で治療していくため薬の量がドンドン増えていきます。

 メタボリックを減らすために行っている健診によって病人が増えていくのです。     

今回のメタボ基準ではさらに130mmHgまで下げています。これは異常事態と言うしかありません。

 とくに、高齢者においては血圧が高いのは当たり前です。そういったことを全く考慮していないのです。基本的に薬は毒物です。できるだけ飲まないほうがいいのです。


 では、血圧はいくらがいいのでしょうか。アメリカの血栓溶解剤(tPA)開発段階で人間の血管は血圧185まで破れないことが確認されています。そのため、古くから高血圧を180以上としてきた医学界は正しかったのです。

 血圧は、興奮時に20くらいあがることを考えれば160ぐらいに押さえておけば十分です。高血圧の薬は180以上の人は緊急的に飲んだ方がいいでしょう。しかし、180ある人の血圧を130近くまで落とすのは間違っています。160程度まで落とすので十分でしょう。後は、食生活の改善、有酸素運動などで徐々に血圧を下げ、薬をゆっくりと減らしていくのがいいでしょう。

 血圧が180以上のときは自覚症状が結構出てきます。顔がほてるとか、しばしば頭痛がする、耳鳴りがするなどです。体が悲鳴を上げているのです。体の声を聴きましょう。その場合は積極的に(緊急処置として)薬物治療した方がいいでしょう。

 食生活は以前にも述べたように極力肉食を控えた方がいいです。量も適量にしましょう。規則正しくバランスのいい食事をしていても健康にはなれません。


「メタボの罠」の著者、大櫛陽一さんは「ちょいメタの方が長生き」を証明しています。住民健診の結果を基に、男性1844人、女性564人を平均5年間追跡調査して死亡率を調べました。すると男女ともにBMI25.0〜29.9の間の"ちょいメタ"が、もっとも死亡率が低くなっていました。これは身長170cmなら体重72〜86kg位に相当します。

 "ちょいメタ"群:BMI25.0〜29.9。最高血圧140〜160。中性脂肪150〜300。
厚労省の基準ではメタボ基準をすべて満たします。健診に引っかかり、病院送りになります。
 ”非メタ”群:BMI25未満。最高血圧140未満、最低血圧90未満。中性脂肪150未満。HLD40以上。空腹時血糖110未満

この「ちょいメタ」と「非メタ」の死亡危険度ですが、ちょいメタは非メタに比べて男性で約半分(0.47倍)女性で四分の三(0.75倍)です。アメリカの最新研究でも同じ結果が出ています。死亡率が一番低いのはBMI25.0〜29.9で、もっとも早死にしやすいのはひょろひょろのもやしタイプであるようです。

 メタボ対策よりも痩せすぎ対策の方が必要になりです。メタボ健診を行うよりはタバコを禁止した方がよっぽど国民のためになると思います。


参考文献
「メタボの暴走」 船瀬俊介著 2008.3.25.


 
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